

大学生の時、難民問題に揺れるパレスチナの実情を知り、いてもたってもいられない気持ちで日本を飛び出し援助活動を始めた菅原由佳さん。「家の中で十分ハッピーに過ごせるタイプです(笑)」とはにかむ小柄な彼女の内側に秘められたエネルギー。瞳の奥に強い意志をたたえる菅原さんの凛とした美しさの秘密に迫ってみました。

「初めてパレスチナを訪れたときに目の当たりにした、自由を剥奪された人々の過酷な生活ぶりがあまりにも強烈で……。残念ながら、平和な国にはありえないその現実が日本で報道されることはほとんどありません。『もっと海外の現実を見なきゃ』という強い気持ちに突き動かされて、海外での援助活動に携わることを決めました」。
「人事や財務管理の仕事は前面に出ることはありませんが、独立性と中立性を保ち、すばやい対応で人命を救うMSFに欠かせない重要な仕事です。どの国に行っても苦労はありますが、一緒に働くスタッフや現地で出会う人々がエネルギーをくれるんです。ケガをしたり、家族や親戚を失ったり、子どもたちの心の傷が癒えないうちに、また次の悲しみが彼らを襲います。でも、その連続の中でも悲しみをエネルギーに変えて生きている。人にはこんなにも生きる力があるんだ、と教わりました」。
「休みの日に女性スタッフだけで集まってパックをしたり、マニキュアを塗ったりするのは、張り詰めた現場で心がほぐれる大事な息抜きの時間。どんな環境にいても、そういう女性としての楽しさを味わうことの大切さを身をもって知りました。赴任先では気が張っているだけに、日本に帰る飛行機に乗るとふっと肌がゆるむのがわかります。緊張が解けるとドッと疲れが出て『もう行かない』と思うんですが、しばらくして気分がリフレッシュすると『また行かなきゃ!』と思う。結局、ひとつひとつの仕事から次へ向かうエネルギーをもらっているんだと思います」。
「文化によって考え方や常識が違うので、ユーモアと忍耐力をもってコミュニケーションをとることはとても大事です。私は何事もマンネリ化するのが好きじゃないので、自分の常識とは違う発見がある環境にいることで、停滞せずにいられるのかなと思います。この先、結婚などでライフスタイルが変わっても、それに合わせてワークスタイルを変えながら、この援助の仕事をより深めていきたい。保守的にならずに、新しいことにどんどんチャレンジしたいですね」。
日よけやマスク代わりに薄手のショールを活用しています。また、海外ではレザーマンのサバイバルナイフを常に持ち歩いています。ペンチやヤスリ、ドライバーなどがついていて、家具や立て付けの修理など、なんでも自分でやっています。
南スーダンでいつも私を励ましてくれたケニヤ人の女性スタッフは、3人の子どもを女手ひとつで育てながら働いているとてもパワフルな人。彼女が明るくたくましく生きる姿は美しく輝いていて、周囲に感動とエネルギーを与えてくれました。その強さとはつらつとしたイメージは、今も私のお手本です。
コンスタントに思い出すのは、私が悩んでいた時に同僚が言ってくれた「Life is a gift」という言葉です。これは、「人生は贈り物だから、めいっぱい楽しく生きよ、人生は自分次第でどういうふうにでもできるんだよ」というメッセージだと思うんです。つい狭まりそうになる自分の視野がスッと広がる言葉ですね。
赴任先には数ヶ月分の化粧水と乳液を持参して、洗顔と保湿はしっかりするようにしています。日中は日焼け止めクリームを塗り、帽子やサングラスで日焼け対策をしています。洗顔、保湿、日焼け止めの3つを毎日欠かさず、たまにパックでスペシャルケアをすることで肌トラブルはほとんどありません。
1998年より国際NGOに参加し、海外援助事業に従事。2003年、国境なき医師団のアドミニストレーター(財務・人事管理責任者)に。南スーダン、インドネシアなど各国に赴任後、2008年3月、国境なき医師団日本の理事に就任。
国境なき医師団 日本